2010年06月11日

感想@映画「アザーズ(the Others)」*ネタバレあり

映画「アザーズ(the Others)」の感想です。
アザーズ [DVD]

アザーズ [DVD]

  • 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
  • メディア: DVD

以下の記述にはネタバレを含みます。放送時間とたまたま合ったので、
CSで流れていたのを視聴しました。
番組表を見ただけの状態でチャンネルを合わせた事から、
タイトルと、2001年の制作、ニコール・キッドマンの主演
……という事しか分からず、
この作品が属するジャンルも知らなかったので、
ホラー映画を苦手としている私は、
冒頭に流れた雰囲気のある映像の段階で
(霧が煙る景色を見た時点で)
「選択を誤ったかも」と思ってしまいました。
でも、嫌なら途中で消せばいいとも思い
──結果、最後まで無事に(?)見ました。



いやぁ、想像していた以上に面白かったです!
ネタバレを見ないで視聴して良かったとも思いました。
せつなくて哀しい物語でした……。
私は未婚なのですが、子供を持つお母さんが見たら
何ともいえない気持ちになるかもしれません。

私は疑い深いので、
冒頭で館にやってきた三人の使用人のうち、
筆頭格の中年女性が、
・募集広告が掲載される前にやって来た
・昔、この家にいた事がある
と明かしたのを受けて、
「彼らは幽霊じゃないの?」と思ったんです。
でも彼らは
主人公のグレース(ニコール・キッドマンさん)とも
二人の子供たちとも普通に接していますし、
物にも触れられるので、
途中で「やっぱり違うのか……」と思いました。

また、放送の中盤で、
過去、グレースが何かやらかしたらしい
(子供たちはそれに対して怯えている?)とも分かったので、
「じゃあ、もしかして子供たちが幽霊?」と思いました。

でも、さすがに……
グレースを含めた主要人物全員が幽霊だとは思いませんでした。
しかも作品の九割以上を占める映像が、現実ではないなんて!
いやぁ、びっくりした!!

ストーリー全体を要約すると、
主人公の女性は
館の中の奇妙な事(幽霊やポルターガイスト現象っぽい事)に
悩まされていたけれど、
実は、彼女自身もその館にいる幽霊で(過去の住人)、
新しく住もうとしていた客(現代の人)を追い出した
……というわけですよね。
最後の「ここは私の家」という台詞や、
門に掛けられた“FOR SALE(売り家)”との文字を見聞きした時は
ちょっと感慨深くなりました。



館の古い歴史は、
作中でグレースが死者の写真を見つけた通りですよね。
三人の使用人の写真が怖かったです……。
この辺は宗教にも関係しているのでしょうが
死者の写真を撮って残しておくって、なかなかえぐいです。
また、グレースが三人も死者であると知った時は、
丁度、二人の子供が墓地で父親の墓標を見つけている時で、
「やっぱり、この三人って敵?」と思えた事から
見ていて緊張しました。
なので、その後に見せられたどんでん返しには
「やられた」と感服しました。

家中のカーテンが何者かに取り払われた後、
犯行を疑われた三人の使用人が、
グレースによって館を追い出されますが……
玄関のドアを出てすぐ、
使用人の内の中年女性が庭師の男性に向かって
「もう我慢ならない」みたいな事を言っていたのは、
一方的に怒って銃口まで向けてきたグレースにではなく、
カーテンを取り払った本当の犯人
──“侵入者”に向けたものだったんですね。
私、ここは、彼らがグレースに対して怒っていたと思ったので、
(多分、視聴者がこう思う事はスタッフさんの狙い通り)
余計に、「あの三人の使用人は敵だ」と誤解しましたが、
作品を最後まで見たら、
三人の使用人とグレースは、生きた時代こそ違うけれど、
同じ境遇(あの館に執着している幽霊)の存在なので、
思い出せていないグレースの言動に
三人の使用人が多少呆れる事はあっても、
あからさまな敵意を向ける事はまずないだろうなと思いました。
(というか、使用人たちも、
グレースが激しく動揺しているのは真実を知らないからだと
承知していますよね)
だからこそ、最後に真相を知ったグレースが
子供たち二人を抱き抱えている時に、
中年女性が彼女に優しく話し掛けたんですよね。



で、“侵入者”について。
今回の彼らは、家を買おうとしている人&
その人たちに雇われた霊能力者なのでしょうか。
作中の言い方(グレース目線)で言うと、“侵入者”は敵ですので、
子供部屋のクローゼットに隠れた子供たちが
“侵入者”に見つけられた時は、
私もまだ真相を分かってなかった段階ですので
「これってまずいんじゃ……」と焦りましたが、
少なくとも今回の“侵入者”は、
館内の調査の為にコンタクトを取った
(グレース達のいる世界に乗り込んで来た)だけなので
敵意は無いんですよね。
でも、グレースにはそれが分からないという。
先輩の幽霊である使用人たちも
そこまではさすがに分からなかったようです。

中年女性がグレースに向かって
「気付いたり気付かなかったり」と言っていた事から、
館の長い歴史の中で、“侵入者”がやって来た事は
決して少なくなかったんでしょうね。
というか、今回は、
「娘さんに乗っ取られた」と言われた女性の霊能力者が
メンバーとして参加していましたが、
(白目をむいていた白髪の女性)
館にいた夫婦の息子・ヴィクターと、
グレースの娘のアンが接触していたのを思うと、
現実と、グレース達が住む世界とは
(時間軸としては過去だけれど、現在も別次元で存在する世界?)
霊能力者の存在の有無に関係なく、
頻繁に交錯するようですね。
グレースたち親子が変な物音を聞いたり、
閉めたはずのドアが何故か開いたり、
上記のように、子供たちが謎の人物と対話したり、
窓のカーテンが全て取り払われていたり……と
作中で描かれていた奇妙な現象は、全て、
現実の世界の影響だと思います。

だとすれば、現実の世界でも
グレースたちの行動の影響を受けていたはずです。
作中で、グレースがやたらとカーテンを閉めたり、
ドアに鍵を掛けたりしていましたが、
きっと、現実でもたまに同様の事が起こっていますよね。
そりゃ、上記の事がやたらと起こるようなら、
霊能力者も呼ぶのも、「この家に住みたくない」と思うのも、
ごく自然な事です。
まだ真相が明らかになる前に、
使用人の中年女性がグレースに向かって
「生者と死者は共存しなければならない」と言ったように
あの館は昔からそういう場所になっているんだろうなぁ。
彼らは天国にもいけず、成仏もできないので、
現実のパラレルワールドみたいな世界で
永遠に、あの館の中で生き続けるんでしょう。



でも、真相が判明して良かった事もありました。
それは勿論、子供たち二人の病の件です。
きっと、生前の彼らは、本当にこの病気に悩まされていたんでしょう。
二人はとっくに治っていたというより、
もう死者なんだから、日光を浴びたところでどうなるはずがない
……という意味合いを強く感じましたが、
厚いカーテンを閉めた中、ロウソクの火を頼りに
静かに遊んでいたそれまでを思うと、
これはこれで良かったのではないかと感じられました。



よく分からなかったのは、グレースの夫が戻ってきた件です。
父親についての会話に不自然さがあったので
どうせグレースの夫は、
亡くなったか家を意図的に出ているかの
どちらかだと思っていたので、
彼も亡くなっていたようなのは自然に受け入れられましたが、
また戦場に行くと言って消えたあたり、
彼は、この館でなく戦場に未練を残しているんですよね?
で、普段はそちらにいるけれど、
今回、たまたま波長が合ったのか、
彼がグレースたちの事を思い出した事で引き寄せられたかで、
館に現れた……のかな?と、想像しました。
もう幽霊なのにセックスするんだwwと思うと
ちょっとおかしかったですが、
少なくともあの時点でのグレースには
自分が死んでいる自覚が全く無いんですものね。
生前、夫を愛していたらしい彼女としては
して当然の行為なのかなと思いました。



というわけで、最後の真相判明には
しっかりと驚かされたので、
私にとっては当たりの作品でした。
ホラー/サスペンス的描写はありますが、
そんなに怖くなく、それ系が苦手な私でも平気で見られましたので、
私のように恐怖シーンが駄目な人でも大丈夫だと思います。




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posted by さくら at 23:59| 映画・舞台 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする